AIでサーバー内部の熱状態を予測し、データセンター冷却を最適化
NTTデータとダイキン工業は、AIサーバー内部の熱状態を推定し、データセンターの冷却を最適化する共同検証を開始します。AIが電力使用量等の間接データから内部温度を可視化し、空調や液冷設備を統合制御することで、過剰冷却の抑制と電力コスト削減を図ります。
実証実験は2026年7月から開始され、2027年度中の商用化を予定しています。サーバーの負荷変動に合わせた自律的な制御により、データセンター全体の運用効率向上と脱炭素化を推進し、国内外への展開を目指します。
背景:AIサーバーの急増と冷却課題の深刻化
AIサーバーは GPUを多数搭載し、従来型サーバーより消費電力・発熱量が大きく、負荷変動も激しい。そのため、従来の「室内温度センサーを基準にした冷却制御」では、以下の問題が発生していた。
- サーバー内部の温度を直接取得できない
- 周辺温度と内部温度が一致しない
- 過剰冷却による電力消費の増加
- 冷却不足による運用リスク(性能低下・障害)
データセンターの電力消費の約30〜40%は空調が占めると言われており、冷却効率の改善は電力コスト削減と脱炭素化の両面で重要なテーマとなっている。
共同検証の概要:AIで“見えない内部温度”を推定する
NTTデータ・ダイキンの両社は、NTTデータのデータセンター運用ノウハウと、ダイキンの空調制御技術・空調制御AIを組み合わせ、サーバー内部の熱状態を推定するAIモデルを共同開発する。
▼ AIが予測に使うデータ(間接データ)
- サーバーの電力使用量
- サーバー近傍の温度センサー情報
- 空調設備の運転データ
- サーバー負荷の変動パターン
これらの間接データから、AIが内部温度を推定することで、従来取得できなかった「サーバー内部の熱状態」を可視化できる点が最大の特徴だ。
特長:設備全体を統合制御し、冷却効率を最大化
AIが予測した熱状態をもとに、以下の設備を統合制御する。
- 空調設備(CRAC/CRAH)
- 熱源設備(チラー・ボイラー)
- 液体冷却設備(液冷サーバー・冷却プレート)
従来の「設備ごとの個別最適化」ではなく、データセンター全体の冷却効率を最適化する“統合制御” を実現する。これにより、
- 過剰冷却の抑制
- 負荷変動への追従性向上
- 電力コストの削減
- 運用自動化の推進
といった効果が期待される。
各社の役割
NTTデータ
- データセンター運用ノウハウの提供
- サーバー挙動と空調の相関データの提供
- GDCEMS(Green DC energy management)によるエネルギー可視化
- AIモデルの検討・開発
- 実証環境の提供
ダイキン工業
- 空調・熱源・液冷設備の制御技術の提供
- 空調制御AI技術の提供
- AIによる自律制御装置の提供
- 設備運転と効果検証
両社の強みを融合することで、サーバー挙動と設備制御を連携させた新しい冷却最適化技術 が生まれる。
今後の予定と商用化
- 2026年7月〜2027年3月:NTTデータのデータセンターで実証を実施
- 省エネ効果
- 電力コスト削減
- 運用自動化の有効性を検証する。
- 2027年度中:商用化を目指す。
将来的には国内外のデータセンターへの展開を視野に入れ、AI時代に対応した次世代冷却ソリューションとして普及を図る。
設備技術者が注目すべきポイント
- サーバー内部温度を“推定”することで冷却制御の精度が向上
- 空調・熱源・液冷の統合制御は今後の標準技術になる可能性
- AIサーバー普及に伴い、従来の冷却設計ルールは見直しが必要
- データセンターの脱炭素化に直結する技術
- 設備側とIT側の連携がより重要に

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