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換気設備設計は、室内に必要な空気量を正しく「算定」し、それを効率よく運ぶための「ルート(ダクト)をサイズ決定」し、最後に空気を押し出す「ファンを正しく選定」する一連の流れで成り立っています。各ステップの基準を順を追って解説します。
厨房・火気使用室の換気量算定(MAX選定フロー)
厨房の排気量算定は、法規制のクリアと、実務における熱気・油煙の捕集(キャッチ)能力の両立が最重要です。
- 【ルートA】建築基準法施行令第20条の3に基づく算定
- 理論廃ガス量方式:V= n × K × Q
発熱量(Q)や理論廃ガス量(K)、フード形状別係数(n)を用いた換気量算定式(V=20×K×Q や V=30×K×Q などの適用区分)。 - フード形状係数 n の適用区分(Ⅰ型:30 / Ⅱ型:20)
- 理論廃ガス量方式:V= n × K × Q
| フードの形状・区分 | 形状係数(n) | 換気量算定式(V) | 備考 |
| Ⅰ型フード (四方開放、アイランド型など) | 30 | V=30×K×Q | 四方が開いているため、汚染空気が逃げやすく、より多くの換気量(30倍)が必要。 |
| Ⅱ型フード (一~三方遮断、壁付け型など) | 20 | V=20×K×Q | 壁面に接しており捕集効率が高いため、換気量は20倍で足る。 |
- 【ルートB】排気フードの面風速・形状等に基づく算定(実務基準)
- フード開口面積と必要面風速(v=0.2~0.5m/s)による算定。
- フード外周長(L)と器具との離隔距離(H)を用いた捕集計算(HASS基準等)。
- 【比較・決定】MAX選定と給気バランス
- ルートAとルートBを比較し、大きい方の数値(安全側)を設計排気量(VE)に決定。
- ドアの開閉障害や排水トラップの封水切れを防ぐための、適切な給気量(VS)のバランス計画。
一般諸室・24時間換気の算定基準
厨房以外の、用途や法規制に応じた換気量の算定根拠を整理します。
- シックハウス対策(24時間換気基準)
- 居室の気積(容積)に対する換気回数(住宅:0.5回/h、その他:0.3回/h等)の計算。
- 居室の所要換気量(CO2 濃度基準)
- 在室人数に基づく算定(1人あたり 20~30m3/h)と、床面積からの人数想定方法。
- 諸室の換気回数基準(実務・学会基準)
- トイレ、機械室、電気室など、臭気や発熱量に応じた換気回数(回/h)による算定。
ダクト寸法の算定基準(サイズ決定)
必要風量(Q)が決まったら、それを流すダクトのサイズを決定します。
- 許容風速法(等速法)によるサイズ選定
- 静音性や経済性を考慮した、ダクト区分ごとの「推奨風速・許容風速」の基準。
- 低圧ダクト(一般換気・空調): 主に静圧 500Pa 以下、風速 15m/s 以下(実務的には騒音防止のため、主ダクト 4~ 8m/s 程度)で計画する基準。
- 中圧・高圧ダクト(高速・高圧系統、排煙など): 主に静圧 500Pa超〜2500Pa 以下の「中圧ダクト」、それ以上の「高圧ダクト」における風速制限(排煙ダクト等での 15m/s 以下の許容値など)の扱い。
- 風量・風速・断面積の関係式
- 連続の式(Q = A×V×3600)を用いた円形ダクト径(Φ)および角ダクトサイズ(幅×高さ)への展開。
- アスペクト比(縦横比)の限界値と実務上の注意点(理想は 1:1、最大でも 1:4 程度)。
ダクトの摩擦損失計算(圧力損失の算出)
ファンに必要な静圧を求めるために、最遠ルートにおけるダクトの抵抗(損失)を計算します。
- 直管部の摩擦損失計算
- 等圧法(等摩擦損失法): ダクト 1m あたりの圧力損失(例:0.8~1.5Pa/m)を一定としてサイズを追う実務手法。
- ダクト摩擦抵抗線図(風量・風速・管径・単一損失の相関図)の見方・使い方。
- 角ダクトを円形ダクトに換算する「相当直径(de)」の計算。
- 局所部(継手・器具)の抵抗計算
- エルボ(曲がり)、チーズ(分岐)、変形管(レジューサー)の局所抵抗係数(ζ)による損失計算。
- 防煙ダンパー(SFD)、風量調節ダンパー(VD)、外壁ガラリ、吸込口・吹出口の通過抵抗(メーカープロット値の拾い方)。
系統全圧の算定と機器(ファン)選定への連動
計算した損失を統合し、最終的な設備機器の仕様へ落とし込みます。
- 最遠ルート(最大抵抗経路)の特定
- 複数分岐があるダクト系統において、最も圧力損失が大きくなるルートの抽出方法。
- 全静圧(Pa)の算出
- 直管損失合計 + 局所損失合計 + 安全率(一般に 10~20% 程度)の考慮。
- ファン特性曲線(Q-H曲線)との照合
- 算出した「設計風量」と「機外静圧」を満たすファンの選定方法。

